はじめに|Chat機能は何がすごいの?
「AIと自然な会話がしたい」「対話型のチャットボットを試作してみたい」——そんなときに活躍するのが、Google AI Studioの「Chat」(チャット)です。
Google AI Studioとは、Googleが開発した最新AI「Gemini Pro」や「Gemini Pro Vision」を無料で試せるブラウザベースのツールです。複雑な設定は一切不要、Googleアカウントさえあればすぐに利用できます。
「Google AI Studio」についてはこちらで解説をしています。こちらもぜひご覧ください。
さらに特筆すべきは、最新バージョン(Gemini 2.5系)のAIモデルが無料で利用できること。他サービスでは有料で提供されることが多い高性能モデルを、誰でも気軽に体験できるのが魅力です。
また、Chatモードは他の生成AIと比較しても、文脈理解力と柔軟性に優れており、自然で継続性のある会話を実現できます。
Chat機能は、その中でも「AIと文脈を保った自然なやり取り」ができるプロンプト形式で、カスタマーサポートの試作や英会話練習、創作活動など、さまざまな用途に活用できます。
本記事では、このChatモードの特徴や使い方、活用例までを初心者向けにわかりやすく解説します。

Google AI StudioのChatとは?
Google AI Studioの「Chat」モードは、AIとの自然な対話を試すのに最適なプロンプト形式です。テキストベースでAIとやり取りしながら、過去の発言の文脈を記憶し、まるで人間と会話しているかのような体験ができます。
このモードは、Gemini Proモデルの性能を最大限に活かし、キャラクター設定・会話の流れ・文脈理解を重視した対話型アプリケーションの試作に向いています。
「Chat」の使い方手順
1. Chatモードでプロンプトを作成
Google AI Studioにアクセスすると、左側のメニューには以下の主要なモードが表示されています:
- Chat
- Stream
- Generate Media
- Build
この記事では、その中の「Chat」モードについて解説します。
※2025年6月22日時点でGoogle AI Studioで使用できる機能。
2. Geminiモデルの選択(右上設定エリア)
右上のモデル選択欄から、2025年6月22日時点で使用できるGeminiモデルを以下から選べます:
- Gemini 2.5 Pro(通常版)
- Gemini 2.5 Pro Preview 05-06(最新のプレビューバージョン)
- Gemini 2.5 Flash(高速応答向け)
- Gemini 2.5 Flash Preview 04-17(Flashの新バージョン)
- Gemini 2.5 Flash Lite Preview 06-17(軽量プレビュー版)
一般的には「Gemini 2.5 Pro」または「Gemini 2.5 Flash」が選ばれますが、新機能のテストや応答パターンの比較にはプレビューモデルの活用も有効です。
3. 各種設定項目の解説(右側の設定メニュー)
● Token count
入力と出力を合わせたトークン数(処理の上限)を表示します。
● Temperature(創造性)
数値が高いほど応答が自由になり、低いほど論理的・保守的になります(例:0.2〜1.0)。
● Thinking
- Thinking mode ON/OFF:複雑な質問への熟考を可能にします。
- Set thinking budget:思考にかける時間とコストの上限を手動で設定可能。
● Tools
- Structured output:JSONやリストなど構造化された出力を求める場合にON。
- Code execution:Pythonコードの実行を許可する設定(現在は一部制限あり)。
- Function calling:関数呼び出しをテストする際に使用(外部API連携の試作など)。
- Grounding with Google Search:Google検索での補足情報を元に応答精度を高めるオプション。
- URL context:指定したURLを読み込み、ページ内容を文脈として使用可能。
● Advanced settings
- モデルの細かな動作調整が可能な項目群。初心者は触らなくても問題ありません。
※ たくさん設定項目がありますが、基本的にあまり触らなくても全く問題ありません。
Chatの活用シーンと具体例
「Chat」は、単なる雑談AI以上にさまざまなシーンで活用できます。
英会話練習や語学学習
- 例:”You are a kind English tutor. Let’s practice daily conversation.”
- 英会話や中国語会話の練習パートナーとして利用可能。
キャラクターになりきった対話
- 例:”You are a wise medieval wizard. Speak in old-fashioned English.”
- RPG風キャラやストーリーテリングの練習相手として便利です。
チャットボットのプロトタイプ作成
- 例:”You are a customer support assistant for an online store.”
- FAQ対応やECサイトでの応答試験に活用。
よくあるつまずきポイントと対策
Chatモードは優秀ですが、実際に使うと次のような場面でつまずくことがあります。
● 文脈がリセットされてしまう?
途中でチャットの履歴が消えたり、文脈を失ってしまうことがあります。
→ 新しいトピックに切り替える際は、ユーザー側から明示的に話題をリセットする(例:「Let’s start a new topic.」など)と精度が安定します。
● モデルが指示通り動かない
プロンプト内での「あなたは〇〇です」といったロール指定が弱いと、うまくキャラになりきってくれません。
→ 具体的な状況や語調まで含めてロールを指定すると精度が向上します。
ロールと初期プロンプトの設定
初回のメッセージでAIにどんな役割を与えるかを明記すると、会話の精度が高まります。
例:
You are a friendly and knowledgeable travel advisor. Answer questions about Kyoto in a casual tone.
(あなたはフレンドリーで知識豊富な旅行アドバイザーです。京都に関する質問に、気さくな口調で答えてください。)
おすすめのChat用プロンプト例
以下は、初心者でもすぐ試せる便利なChatプロンプト例です。
シーン | プロンプト例 |
---|---|
ライティング支援 | “You are a professional blog editor. Help me improve my writing.” |
子ども向け対話 | “You are a cheerful character that explains things to 8-year-olds.” |
面接練習 | “You are an HR manager. Conduct a mock interview with me.” |
コーチング | “You are a life coach. Help me reflect on my goals.” |
まとめ|ChatでAIとの自然な会話を体験しよう
Google AI StudioのChat機能は、ただの雑談ツールではなく、プロンプトエンジニアリングや会話設計を試せる実験場として非常に有用です。
初心者でもすぐ使えるシンプルな操作性と、深い対話が可能な柔軟性を兼ね備えているため、学習・開発・創作のどの現場でも力を発揮します。
まだ触ったことがない方は、ぜひ「Chat」を選択してAIとの対話の世界を体験してみてください。