最近、家電量販店やネットニュースで「Copilot+ PC(コパイロットプラス ピーシー)」という言葉をよく目にしませんか?
「AI搭載」と大きく書かれていますが、正直なところ「今までのパソコンでもChatGPTや画像生成は使えていたし、何が違うの?」と疑問に思う方も多いはずです。
実は、Copilot+ PCは単にソフトが新しくなっただけではなく、パソコンの「中身(ハードウェア)」から設計が見直された、新しい時代のスタンダードを目指す存在です。
今回は、従来のパソコンとの決定的な違いや、それによって私たちの日常がどう変わるのかを整理してお伝えします。
そもそも「Copilot+ PC」とは何か?
Copilot+ PCとは、Microsoft(マイクロソフト)が定めた厳しい性能基準をクリアしたパソコンの呼称です。
最大の特徴は、AI処理に特化した「NPU(Neural Processing Unit)」という専用のプロセッサを搭載していることです。
これまでのパソコンが、いわば「計算が得意な脳(CPU)」と「映像が得意な脳(GPU)」の2つで動いていたのに対し、第3の脳として「AI専用の脳」が加わったイメージです。
MicrosoftはこのNPUの性能に対して「40 TOPS(1秒間に40兆回の演算)」以上という高いハードルを設けています。
この基準を満たすことで、クラウド(インターネット)に頼らず、パソコン本体だけで高度なAI処理が可能になります。

従来のパソコンとの「3つの決定的な違い」
普通のパソコンとCopilot+ PCを比べたとき、特に実感しやすい違いは以下の3点に集約されます。
一部のAI機能が『ネットなし』でもスムーズに動く
これまでのAI利用(ChatGPTなど)は、入力した情報を一度インターネット経由で巨大なサーバーへ送り、返ってきた結果を表示する仕組みが主流でした。
Copilot+ PCは、搭載されたNPUによってパソコン内部でAIを動かす「ローカル処理」が可能です。
これにより、プライバシーを守りながら高速に回答を得られたり、ネット環境が不安定な場所でもAI機能が使えたりするメリットがあります。
Copilot+ PCでしか使えない「限定機能」
Windowsのシステム自体にAIが深く組み込まれているため、この基準を満たしたパソコンでしか使えない専用機能が用意されています。
- コクリエーター(Cocreator):
「ペイント」ソフトなどで、自分が描いたラフスケッチと指示文を組み合わせ、AIがリアルタイムで高品質な画像に仕上げてくれます。 - ライブ キャプション(Live Captions):
動画やWeb会議の音声をリアルタイムで解析し、40カ国語以上の言語から日本語などの字幕へ即座に翻訳・表示します。 - Windows スタジオ エフェクト:
ビデオ通話中に背景を自然にぼかすだけでなく、照明を補正したり、視線をカメラ側に自動修正したりして、印象を劇的に向上させます。
バッテリーの持ちが驚異的に伸びた
これが最も意外で、かつ実用的なメリットかもしれません。
AIの処理をCPUではなく、省電力なNPUに任せることで、パソコン全体の消費電力を抑えることができます。
多くのモデルで「1日中充電器を持ち歩かなくても作業ができる」レベルの長時間駆動を実現しています。
どんな人に向いている?
「今のパソコンで満足しているけれど、買い替えるべき?」と迷っている方へ、判断の目安をまとめました。
- 向いている人:
- 外出先での作業が多く、バッテリー持ちを最優先したい。
- Web会議が多く、翻訳字幕や映像補正をスムーズに使いたい。
- 最新のAI技術をいち早く体験し、創作活動に活かしたい。
- 急いで買わなくてもいい人:
- ネット検索やYouTube視聴、簡単な書類作成がメイン。
- 常に安定したWi-Fi環境があり、クラウド型のAIで不便を感じていない。
以前の記事でも触れたように、AIは「道具」です。
自分のライフスタイルにその道具が必要かどうかを見極めることが大切です。
AIとの関わり方については、こちらの記事も参考になります。
また、最近のAIが文字だけでなく「目」や「耳」のような機能を持つようになった背景を知ると、なぜNPUのような専用パーツが必要になったのかがより深く理解できるはずです。
Copilot+ PCに関するよくある質問(FAQ)
- Q今持っている古いパソコンをアップデートすれば、Copilot+ PCになりますか?
- A
残念ながらなれません。Copilot+ PCは「NPU」という物理的なパーツの性能に基づいた規格であるため、ハードウェアそのものの買い替えが必要です。
- Qネットに繋がなくてもChatGPTのような会話ができますか?
- A
基本的にはネット接続が必要な機能も多いですが、一部の翻訳機能や画像生成補助などはオフラインでも動作します。
今後、完全オフラインで動く小型のAIモデル(LLM)の搭載も期待されています。
- Q価格は高いのでしょうか?
- A
メモリ16GB以上、高速なストレージといった高いスペックが要求されるため、格安パソコンに比べると高価です。
しかし、その分「長く快適に使える高性能な一台」であることは間違いありません。
まとめ:AIは「クラウド」から「手元」へ
Copilot+ PCの登場は、パソコンの進化における大きな転換点です。
これまでは「ネットの向こう側」にあったAIが、いよいよ「自分の手元の機械」の中で当たり前に動く時代がやってきました。
今はまだ「一部の人のための高性能マシン」という印象が強いかもしれませんが、数年もすれば、この「NPU搭載」が当たり前の基準になっていくでしょう。
次にパソコンを買い替えるときは、ぜひ店頭で「Copilot+ PC」のロゴを探して、その快適さを体験してみてくださいね。

